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中小企業庁が30兆円規模の保証・融資枠
「スイミングスクール」が指定業種に!

 経済産業省・中小企業庁は原材料価格高騰に対応する緊急保証制度の枠を従来の6兆円から20兆円に拡大し、対象業種を600超業種、260万企業に拡大した。今回の措置では「スイミングスクール」も対象業種に加えられた。
 「中小・小規模企業の資金繰りを、全力をあげて応援」するというこの制度は、原油高騰に端を発した経済不況対策として政府与党が8月に決めた「安心実現のための緊急総合対策」の一環で、10月31日から「原材料価格高騰対応等緊急保証制度」として開始している。緊急保証枠を拡大したことで、中小企業が民間金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会の保証条件が大きく緩和されている。
 また、業種を問わずに利用できる「セーフティネット」貸付では、業況の悪化している業種に属する中小企業を支援するために従来の貸付枠を3兆円から10兆円にまで拡大。貸付額も最大利用額が大幅に拡大された。特に業況の悪い事業者に対しては、金利の引き下げも行う予定だという。

資金繰り支援の「緊急保証」とは何か?

 政府は12月14日から「中小企業の資金繰り」を支援するための緊急保証枠を、従来の6兆円から約3倍の20兆円へ拡大した。その対象業種として「スポーツ・健康教授業(フィットネスクラブを除く。スイミングスクール、ダイビングスクールに限る)」が加わり、本協会登録クラブもその対象となった。今回、追加された指定業種は、果実酒製造業・単体飼料製造業・鉄スクラップ加工処理業・電子計算機製造業・自動車教習所・学習塾・エステティック業・ビルメンテナンス業など80業種で、これで全国の中小・小規模企業260万企業をカバーしている。

 緊急保証制度の対象となるのは、「指定業種」であることと、以下のいずれかの要件にあてはまる中小企業者であること。
  指定業種に属する事業を行っており、最近3ヶ月間の平均売上高等が前年同期比マイナス3%以上の中小企業者。
  指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入れ価格が20%以上上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できない中小企業者。
  指定業種に属する事業を行っており、最近3ヶ月間(算出困難な場合は直近決算期)の平均売上総利益率又は平均営業利益率が前年同期比マイナス3%以上の中小企業者。


計算例:
最近3ヶ月の平均売上総利益率が33%で、前年同期が35%だった場合
(35-33)/35×100=5.7%
5.7%≧3%(認定基準クリア)

 この緊急保証制度による民間金融機関からの融資は、信用保証協会が100%保証を行い、責任共有制度の摘要はない。融資枠は、一般保証8千万円に加えて、別枠で8千万円(担保のある方は、一般保証最大2億円に加え、別枠で最大2億円)まで利用できるように緩和されている。

 緊急保証の拡大により、中小企業庁・金融庁は金融機関に対して、中小企業への円滑な資金供給を繰り返し要請しているが、これまでの金融機関の対応との違いを、中小企業庁は次のように説明している。  つまり「金融機関が条件緩和を行っても、不良債権にならない取扱いを拡充」したということだ。

「セーフティネット貸付」の活用

 社会的、経済的環境の悪化、金融機関との取引状況の変化などにより、一時的に業況悪化、資金繰りに困難をきたしている中小企業の方の経営基盤の強化、経営の安定を支援するなどのための特別貸付に「セーフティネット貸付」がある。全業種が対象で、中小企業なら最大で4億8千万円、小規模企業なら最大で4800万円を利用できる。特に業況の厳しい方には、金利の引き下げも予定されている。
 具体的にその貸付窓口のひとつである日本政策金融公庫を例にすると、セーフティネット貸付を受けられる要件を次のように説明している。
 「社会的、経済的環境の変化などにより、次の1に該当し、かつ、2の要件を満たす」ことが必要で、
1 次の(1)から(7)までのいずれかの経営状況になっている方。
(1) 最近の決算期における純利益額または売上高経常利益率が前期に比べ悪化していること。
(2) 最近の決算期における売上高が前期に比べ5%以上減少していること。または最近3ヶ月の売上高が前年同期を下回り、かつ、今後も売上減少が見込まれること。
(3) 最近、回収条件の長期化または支払条件の短縮化など取引条件が悪化していること。
(4) 社会的な要因による一時的な業況悪化により資金繰りに著しい支障を来していること、または来すおそれのあること。
(5) 最近の決算期において、赤字幅が縮小したものの税引前損益または経常損益で損失を生じていること。
(6) 前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの利益準備金および任意積立金の合計額を上回る繰越欠損金を有していること。
(7) 前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの債務償還年数が15年以上であること。

2 中長期的にみて、業況が回復し、かつ、発展することが見込まれること。
 となっている。[資金の使い道]には、設備資金(社会的な要因などにより企業維持上緊急に必要とする設備資金)と運転資金(経営基盤の強化を図るために必要とする運転資金)があり、融資額は4800万円以内。返済期間は設備資金の場合は15年以内(据置期間3年以内)。運転資金の場合は5年以内(据置期間1年以内。特に必要な場合3年以内)になる。
 詳しくは全国各地の緊急相談窓口(信用保証協会、日本政策金融公庫等)にお尋ねいただきたい。


原材料価格高騰対応等緊急保証制度に関するQ&A

 さらにこの制度を理解するために中小企業庁が作成した「Q&A」を転載(既に「スイミングスクール」は業種として認定されているため、その「業種関連」の質問の項は省く)すると―。

Q1.どのような中小企業が緊急保証制度を利用できますか。
A.以下のいずれかの要件に当てはまる中小企業者であって、事業所の所在地を管轄する市町村長又は特別区長の認定を受けた方が対象になります。
  1. 指定業種に属する事業を行っており、最近3ヶ月間の平均売上高等が前年同期比マイナス3%以上減少している中小企業者。
  2. 指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%以上を占める原油等の仕入れ価格が20%上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できない中小企業者。
  3. 指定業種に属する事業を行っており、最近3か月(算出困難な場合は直近決算期)の平均売上総利益率または平均営業利益率が前年同期比マイナス3%以上低下している中小企業者。
    *認定書の様式は市町村(または特別区)で配布しています。
Q2.利用するためには、どこに申し込みをすれば良いでしょうか。
A.対象となる中小企業の方は、本店(個人事業主の方は主たる事業所)所在地の市町村(または特別区)の担当課(商工担当課等)の窓口に認定申請書を提出し、認定を受けて下さい。その後、ご希望の金融機関または所在地の信用保証協会に認定書及び決算書等借入に必要となる資料を持参のうえ、保証付き融資を申し込んでください。

Q3.認定書の様式はどこでもらえますか。
A.認定書の様式は、事業所の所在する市町村(または特別区)の担当課(商工担当課等)で配布しています。

Q4.いくらまで保証してもらえますか。
A.近時の急激な原材料価格等の高騰により厳しい経営環境におかれている業種の方々を対象とし、指定業種を営む中小企業の方は、一般保証の2億8千万円(うち無担保8千万円)までとは別枠で2億8千万円(うち無担保8千万円)までの利用が可能となります。なお、セーフティネット保証を利用している場合は合算で2億8千万円までとなります。ただし、認定を受けた場合でも金融機関及び信用保証協会の審査がありますので、上記の内容を無条件で受けられるものではありません。

Q5.市町村で認定書をもらえば、必ず保証してもらえるのですか。
A.認定書はあくまでも対象業種等に係る認定となります。実際の借入については、認定とは別に、金融機関及び信用保証協会による金融上の審査がございます。

Q6.本制度について詳しく知りたいのですが、どこに問い合わせれば良いですか。
A.制度の内容については地方経済産業局、信用保証協会等にご紹介下さい。

「スイミングスクール」の指定業種決定まで

 本協会を管轄する文部科学省生涯スポーツ課から「特定業種指定」追加の打診があったのは11月だった。「原材料価格高騰対応等緊急保証制度」を推進する中小企業庁から、文科省担当者へ省庁レベルの事務連絡として「原油価格高騰で大変な業界」の調査があり、当初は「文科省としては対象となる業種はない」という判断をした。ところが、本協会が管轄団体であることに気づき、協会事務局に連絡があったのが11月末。「原材料価格高騰等対応緊急保証制度」の対象業種に加えてもらうために、事務局では申請書を作成して提出したが、その要旨は、スイミングクラブがこれまで担ってきた社会的役割を挙げ、幼児・学童への水泳指導を通じた人間教育、高齢者の健康づくりがあること、原油価格の高騰が経営者の障害になっていること、さらに原油高騰が会員に転嫁できない状況の説明だった。
 時を同じくして、九州支部理事より「保証制度の中にスイミングクラブの業種が入っていないが、働きかけはできないか」との要請もあった。
 その結果、12月10日に発表された「原材料価格高騰対応等緊急保証の特定業種」の追加業種リストには、「スポーツ・健康教授業(フィットネスクラブを除く)」として「スイミングスクール・ダイビングスクール」が加わった。当協会事務局の申請内容を中小企業庁が護るべき業種として評価したたまに「追加指定業種」として認定を受けたと思われる。

◇◇問い合わせ先◇◇
緊急保証やセーフティネット貸付について
○緊急相談窓口は信用保証協会、日本政策金融公庫、商工会議所、商工会、経済産業局など全国900ヶ所に設けられている。下記のホームページでご確認を。
http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/kinkyuhoshou/madoguchi.htm