内科的予防疾患のための
アクアフィットネスの指導手順と注意


筑波大学教授
野村武男氏

 アクアフィットネスは、高齢者にとって最も適している運動

 プールでの死亡者は、年間20人といわれています。溺れて亡くなるのではなく、外気との温度変化によって、主に更衣室などの室内で亡くなっています。特に冬は、温度差が激しいため危険です。しかし、水中運動は、転んでもケガをしないというメリットと、水圧によって体の全てに抵抗がかかるため、入水するだけでも効果があります。従って、アクアフィットネスは、高齢者にとって最も適している運動といえるのです。
 水中指導での効果は、ハード面とソフト面に分けられます。ハード面とは、付属施設、補助具の活用のことです。例えば、ミストサウナでは運動のウォーミングアップができ、スーパーチャージャーやワールプールにはマッサージ効果があります。また、保温水着やビート板などの補助具を使うこともよいでしょう。ソフト面とは、個々のニーズにあったプログラムを作成したり、インストラクターの教育をしたり、医療とのタイアップを図ったりすることです。
 それから、運動時には、バイタルチェックや水中環境の設定などに注意が必要です。問診表を見れば、ある程度の運動処方が見つけられます。例えば、血圧の降圧剤を服用してすぐに入水することは、急激に血圧が下がってしまうため危険です。入水前の運動処方が大切なのです。
 また、水中運動が、患者にとって人生の糧になるような動機付けを図ることも重要なことです。

 Q.高血圧と糖尿病の患者が心筋梗塞を起こした。今は運動を休ませている。糖尿病があるため、医者には運動をした方がよいと言われているが?
 A.医者が許可しているのであれば運動をしてもいいが、まずは入浴から始めた方がよいでしょう。その際、脱衣所との温度差に気を付けることが大切です。

 Q.筋力測定器がない場合の測定方法は?
 A.ビート板を10枚積んでその上に立ったり座ったりして、徐々にビート板の枚数を減らしていくという、ビート板の座り立ちがよいです。筋力がつけばつくほど、枚数を減らしても立てるようになります。

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