糖尿病予防改善のための
アクアフィットネスの実技・指導実習


東雲スイミングクラブ
小田良宗氏

 水中運動の実施2時間前は、通常何も食べてはいけないとされていますが、糖尿病患者の場合は、あめ玉一個でもよいので摂取し、インスリンショックを予防する。
 また、運動前のメディカルチェックは不可欠で、看護師の問診により血糖値や血圧、心拍数を把握しておくことが重要である。運動時間は最低30分から長くても60分まで。陸上でのストレッチ、ダンベルを利用した軽レジスタンス運動、水中でのウォーキングやアクアビクスなどの有酸素運動を組み合わせて行うことで、インスリンの分泌促進効果が期待できる。
 トレーニング実施にあたって常に心がけたいのが、こまめに、正しく脈拍(心拍数)を計ること。水中での心拍数は陸上に比べ約10拍下がるため、低血圧者の入水には注意が必要。水温も、競泳用に比べ2〜3℃高めの水温31℃〜32℃、室温33℃〜34℃に設定。水温が低いと脳血管障害、心筋梗塞の原因となることがある。
 水中運動プログラムの内容としては、前進・後進歩行、なんば歩行(同じ側の手足を同時に動かす日本古来の歩行法、腰の捻れが少ない)、キョンシージャンプなどの様々な歩行法をメインに、アクアビクスによる有酸素運動と、水中バーやダンベルを用いた筋力トレーニングを実施する。ダンベルを用いた筋力トレーニングは、高齢者に適した手法だが、肩関節や、筋肉・靱帯などに負担がかからないようゆっくり行うこと。糖尿病患者は高血圧などの合併症を併発している可能性が高いため、無理な動作や負荷を与えると危険である。手指のストレッチにいたるまで、いずれの動作もゆっくり、低強度レベルで行うよう気をつけること。
 また、運動の最後には、全身を十分にリラックスさせ心身ともにリフレッシュさせることが必要。

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