「スイミングクラブ生き残り策の提言」

(株)船井総合研究所 チーフコンサルタント
宇都宮 勉氏

◎トップとスタッフに求められるもの

 スイミングクラブのインストラクターには、先生感覚が抜けていない人が多いと思います。先生と生徒という感覚は維持しつつも、お客様と従業員という感覚を持つことが大切です。インストラクターに求められるものは日常会話能力です。子どもの教育は母親任せという時代から、父親も母親と一緒に教育をするという風に変わってきているので、父親ときちんと会話できるようになることも必要です。父親からの評価が高いところは会員の定着率も高いところです。
 またインストラクターだけでなくフロントスタッフも日常会話能力が求められます。そのためにも学ぶクセづけをすることが必要です。学ぶ方法はいろいろあります。自店の接客力向上のために、1日に1件は他のクラブにお客を装って電話をすることも非常に有効です。電話応対でいい悪いがはっきりわかりますし、かなりのノウハウが貯まります。経営者に求められることは、企業としてのビジョンを明確にし提示することです。可能な限りの情報を公開することも重要です。情報を開示しないと噂となって広まりますが、これは非常にこわいことです。
 組織力アップのために大事なのはお客様(時流)に合わせ、組織をお客様の都合のいいように作ることです。お客様はビジネスを動かしていく一員であり、従業員にお客様への感謝を教えこまねばなりません。
 また、業務を継続的に革新していくためには、従業員に常に実力の20%以上の業務を与え、毎年毎年、毎月毎月、何とか新しくして「これはまだ無理かな」と思えるような業務を与え続けることが重要です。

◎効果の高いチラシを作るには

 販促の手段としてチラシがありますが、チラシ作成に際して目指すべきことは高いレスポンス率の達成です。では、いったいどうすればチラシのレスポンス率が上がるのか。そこで、アナログですが意外に効果のある方法をご紹介しましょう。
 それはモニター会(お客様ご意見会)を開催し、その結果をチラシに反映する、という方法です。モニター会とは、すでに会員になっている方々をグループに分けて、自店の良い点、悪い点を語っていただくミーティングです。ここで大切なのは、店側の出席者は少なくし、会員の人数を多くすることです。話しやすい雰囲気にしておかないと、率直な意見は出てこないからです。モニター会ではいろいろなマイナス意見が出てきます。それらに対してはすぐに対処することが必要です。会員でいる理由についてもいろいろな意見が出てきますが、それらがその施設の強みなのです。その強みを全部チラシに反映すれば、チラシのレスポンス率は上がります。これは速効性のある方法であり、今まで潜在していた需要の掘り出し、顕在化にもつながります。

◎よそにはない商品を売れ

 プログラムの作り方について考えてみましょう。同じ商品を売り続けていると価格競争になってしまいます。他が作っていない商品を売れば価格競争にはならないのです。そのためには教えるノウハウと教える人をくっつけて、新しい商品にすればいいのです。例えば、女性のコーチが教える女性のためのスイミング教室といったようなものです。これまではどんな人が教えてくれるのか、最初からはわかりませんでしたが、それを最初からわかるようにするのです。泳法始め様々なノウハウを、それに適した人が売れば新しい商品になるのです。


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