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● 規制緩和の波が公共スポーツ施設にも 文部科学省社会教育調査報告によると、現在日本には46,554箇所の公共スポーツ施設があり、この中で屋内水泳プールは1,400箇所、屋外水泳プールが2,800箇所という結果がでています。4,200箇所あるプールが今までは行政の直営、またはスポーツ振興事業団を通じて運営され、通常は行政優位で行政が決めた料金・スクールでやるというのが大多数でした。 しかし、今行政が大きく変わりつつあります。規制緩和、構造改革という流れの中でこれまでの法令・規制によって管理する「伝統的官僚システム」から、業績・成果による管理する「NPM(New publicManagement)システム」という考えが出てきました。NPMとは80年代後半英・カナダ・ニュージーランド等を中心とした行政実務の現場主導によって構築されたマネージメント理論で、徹底した競争原理の導入し業績、成果による管理・評価をするというものです。 日本では本年9月2日に地方自治法第244条が改正、施行されたことにより民間事業者も公共施設の運営が可能になりました。 ● バリエーションに富む運営方式 公共スポーツ施設の運営方式には「行政直営」、「事業団委託」の他に、行政が整備・管理し民間が運営する「NPO委託」、「民間企業委託(定額方式、出来高方式)」、「経営委託(テナント方式)」、民間が建設整備・管理・運営を一括して行う「建設経営委託方式」、「PFI(Private Finance Initiative)」があります。PFIは、英国を中心に発達した事業方式で、公共サービスの提供にかかわる施設の設計(計画の一部を含む)、資金調達、建設、運営、維持、管理といった事業プロセスを一貫して民間事業者に委ねることで、住民、利用者に対して質の高い公共サービスを効率的に提供し全体的に安く出来るというメリットがあります。 事業事例として民間企業委託(出来高方式)では香川県の詫間シーマックス、テナント方式では、大阪府のはびきのコロセアム、建設経営委託方式では石川県の高松町総合型地域スポーツクラブ活動拠点等があります。 他にも、支払う金額に応じた最も価値の高いサービスを供給するという考え方で、VFM(ValueForMoney)があります。この方法は建築会社、設計事務所、運営事業者を一つのグループにして、このグループと契約することにより民間同士の受発注になるので実勢単価で調達するので建設費も安くあがる、というメリットがありますが非情に面倒でPFIが進まない最大の理由となっています。 公共スポーツ施設PFIの事例としては大林組とコナミスポーツによる岡山市の「当新田環境センター余熱利用施設の整備運用事業」、三井物産とセントラルスポーツによる調布市の「市立調和小学校整備・維持管理運営事業」等があります。この手の事業を全く知らない方がいたとしたら、アンテナの張る方向が全く違っているのです。 ● 新たなビジネスチャンスの到来 公共スポーツ施設を活用してビジネスを展開していく場合のメリットは(1)用地取得のリスクがない(2)初期投資(建設、設備等)リスクが小さい(3)投資回収リスクがリスクが小さい(行政との契約)(4)好立地、住民理解の点から集客性が見込める(5)潜在的マーケット(6万5千箇所)が大きい等です。 PFI方式を使ったり地方自治法の改正、NPMという規制緩和の流れの中で、今まで手が出せなかった公共スポーツ施設の分野にも民間の新しい、ビジネスチャンスが出てきています。 |
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