「競争こそ生き残りの条件」

M.Yマネージメント研究所代表
坂本 圭史氏

◎能力主義社会を生き抜くために


 時代が大きく変わり、それにつれて常識も大きく変わりました。成長率は、過去35年で15倍になりましたが、向こう35年では良くて2倍でしょう。能力主義社会を生き抜くためには、こういう世の中だということをきちんと認識した上で能力、意欲、健康のうち、一つでも欠かさないことです。また、人間は自分自身に対する評価は甘いものです。自分に対しての評価は客観性がなく主観的なのです。トップに立つ人も下で働く人も、そのようなギャップがあることを知った上でフォローしなければいけません。
 さらに学者や評論家は「分かる」だけでいいのですが、実務家に求められるのは「出来る」ということです。趣味を持つことも大事で、趣味は明日の仕事にエネルギーを与えてくれます。

◎競争があるから改革が進む

 企業も人生も競争の連続で、競争がない業界は衰退してしまいます。ライバルがいた方が技も心も磨かれるので、競争があればこそ成長するのです。競争に必要なチャレンジ精神はハングリーから生まれます。空腹な人ほどよく仕事をする、というわけです。
 競争に勝つ最大の戦略とは何か。それは差別化です。企業の大きさで勝敗が決まるのではありません。優れた者がお客様によって選ばれるのですから差別化について頭を使うべきです。他より一歩深く踏み込んで、お客様のニーズを満たしましょう。そのためにはお客様の視線でものを見なければいけません。真の競争相手は誰なのか見極めることも大事です。同業者のみが競争相手ではありません。

◎固定観念に縛られるな

 改善と改革は違います。改善は現状肯定からスタートするので部下にまかせておけますが、改革は現状否定からスタートするのでリーダー自ら率先して取り組まねばなりません。そして良いと思ったことは中途半端なところで妥協しないことです。また、実務家に必要な情報は先行情報です。情報伝達に関しては、顔をあわせて言わなければ伝わらないことがある、コミュニケーションコストは惜しむな、情報は相手に伝わりアクションを起こすまでは流し手の責任である、という3つのキーポイントが挙げられます。
 改革をし、競争に打ち勝つためには、固定観念に縛られずいったんは白紙に戻して考えてみることです。こうするのが常識だ、などという過去の成功体験をもとにした思いこみから仕事をしてはダメなのです。やる気の持続、積極思想が道を切り拓くのです。
 いかに時代が変わっても、「変えてはいけないもの」があります。信用、誠実、謙虚、親切、安全、約束を守る、嘘をつかない、お客様を第一に考える、お取り引きを大切にする、感謝の気持ちを忘れない、などですがこれらはすべて当たり前のことです。しかし、当たり前のことを当たり前に行うことは大変なことなのです。築城3年、落城3日と言われます。クレームは信用失墜につながりますから、大きな経営問題として取り上げねばなりません。
 未来企業は、守備範囲が固定した「野球型」ではなくフレキシブルな「サッカー型」になるでしょう。「俺の仕事じゃないからしない」という態度では新しい世の中に対応できません。
 21世紀の課題のひとつは環境問題で、この問題への配慮は不可欠となります。
インターネットをうまく使い変化に対応することも必要です。ただネット社会がどんなに進んでも、経営の主役が経営者であることは変わりません。


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