シンポジウムII
「人気プログラムへの秘訣」
〜世代別の地方における人気プログラムの現状と展望〜
(有)アクアヘルスコミュニケーションズ 代表取締役 大方孝氏
(有)アクトスペース企画 代表取締役 尾陰由美子氏
ブリヂストンスイミングスクール久留米 選手コースヘッドコーチ 濱口有子氏

プログラムの特色

大方:まずはプログラムの特色や各地のフィットネス事情をお話しいただきます。地方では、指導者不足、指導者のレベルが不十分との声も出ています。また、現在、高齢者の健康維持増進のために452億円の補助金が確定しています。これは我々の業界にとっては脅威になり得ることです。と同時に、うまくすればビジネスチャンスにもつながると思います。
尾陰:地方では、東京、大阪と同じようなプログラムを組むことは不可能なので、その地域でできるプログラムを考えることが重要です。また、待っているのではなく、こちらから出向いていく、働きかけていくことが必要だと思います。フィットネスクラブで高齢者の占める割合は増大する一方です。高齢者対策のための知識、情報をもっともっと持たねばならないでしょう。
濱口:私が九州で感じることは、皆さん一番肝心なことを忘れているのではないか、ということです。例えば、動きにおいて筋肉がどう使われるのかきちんと把握しているのか疑問です。
また、データをちゃんととっているのでしょうか。データを持っていないと効果は上がりません。肝心なことを忘れず、しっかり考えていけばプログラムは自ずと出てくると思います。

地方の状況

大方:各地における現状や特色をお聞かせください。
尾陰:大阪では、プログラムが二極化してきています。ひとつはエネルギッシュでエキサイティングで、ストレス解消を強く押し出したもの。これは一度にたくさんの人を指導できるプログラムです。もうひとつは、自分の目的に合った効果が導き出せるプログラムです。これは水中パーソナルトレーナーによる指導です。
濱口:九州の場合は、4泳法の指導が一番たくさんの会員数を抱えています。海外旅行に水着を持っていってホテルで泳ぐ人が増えましたが、旅先で上手に泳ぎたいというのも4泳法を習う動機になっているようです。九州ではまだ、いろいろなプログラムをいかに定着させ、成果を上げるかという段階だと思います。
大方:私は各地で水中ウォーキングなどを指導していますが、血圧、体脂肪、体重、ウエスト、10メートル歩行や一歩の最大歩幅などの計測を必ずしています。これをお客様が見るとモチベーションになりますし、積み重ねることで指導法の裏付けにもなります。

地方の課題と展望

大方:最後に今後の課題と展望をお聞かせください。
尾陰:今年、名古屋と大阪で、高齢の公害病認定患者の方、ぜん息疾患をお持ちの方を対象とした水中リラックス教室を開催します。私たちが見ているフィットネスの世界はまだまだ狭いので、視野を広く持つことが必要だと思います。地方の課題は、指導者のスキルアップと裾野の拡大です。また、学んだことは行動に移すことが大事です。濱口:原点をきちんと見ていないと、どんなにいろんなものを吸収しても、方向が違ってくると思います。東京の講習会に行くと、皆さん非常に元気で、自分の仕事に誇りを持っているように感じます。ところが九州に戻るとみんな元気がない。人に頼ってばかりで自信がないからです。九州に元気になってほしい、これが一番の願いです。
大方:最後にまとめさせていただきます。お二人の話を聞いておりますと、指導者の意識の変革が大事だということに要約されるのかなと思います。九州のみなさんが、ここから情報を発信して、この日本をリードすることを期待して結びといたします。


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