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ディズニーランドの世界とは 1983年4月にディズニーランドが開設され、21年7ヵ月経過しました。ご来場いただく98%以上がリピーターになります。したがってリピーターにご来場していただかなければ、経営が成り立たないため、どうしたら再度ご来場いただけるかを最大の課題にしています。 ディズニーランドはジェットコースター、観覧車、メリーゴーランドなど機械中心でもてなす「遊園地」とは違い、人の力でお客さまを喜ばせ、もてなすエンターテイメントが中心です。ですからキャストと呼ばれる従業員の数が非常に多く、両方のテーマパークを合わせると約2万5千人が働いているのです。このキャストと共にいかにサービスの質を高めて持続するかという仕組み作りに苦労しています。 ウォルト・ディズニーは盛んにお客様に「ハピネス」を贈りたいといいます。「ハピネス」とは、「我を忘れて、子供に返って、来て良かった」というような意味で、そのような気持ちを提供したいということです。 私がディズニーの仕組みの中で一番優れていると思うことは、「ハピネス」を提供したいとキャストのみんなが本気でがんばり、それがお客さまにも伝わっているということです。 それではなぜ「ハピネス」を感じることができるのでしょうか。ディズニーランドでは、本気で夢の世界を創るために、普段私たちが目にする自動販売機などの日常的なものを一切排除しています。そうすることによって、お客さまの頭の中で、「イマジネーション」が広がっていきます。 また、「コミュニケーション」というのはエンターテイメントの世界でして、ご来場されたお客さまの気持ちや心が一つにつながるという要素が非常に大切なのです。「イマジネーション」とは夢で、「コミュニケーション」とは心を感じることです。夢と心がディズニーランドの原点なのです。夢のような場所があるから心を感じ、そして「ハピネス」を感じることができるのです。 「心の満足」を提供する経営 私たちは心の満足感のようなものを売っているので、「心の産業」といっています。サービスとは「心の対話」です。サービスを受ける側のお客さまのことを第一に考えて行動すれば、一方通行でなく、心からの感謝、お客様の笑顔が返ってきます。 そして、さまざまな経営戦略以上に重要であるのが、「バッドエクスペアリエンス」、つまり「嫌な思い」をさせないことです。もう二度と行かないと思われることは、私どものようなリピーター企業では致命傷なのです。従業員一人ひとりの信用と信頼があって企業のイメージが成り立つのです。 従業員の教育で大切なことは、「マニュアル」以上に「心」です。お客さまに喜んでもらえたという体験をさせることにより、やる気につながります。また、夢みたいな場所だから、ここで働くことに満足しているということがお客さまに伝わりますから、「場作り」も不可欠になります。 さらに、大勢いる従業員に「心の対話」をさせるには、意識改革が必要です。従業員を管理、監督する従来型の組織ではなく、上司は直接お客さまと接する現場の人間をサポートする体制が大切です。ディズニーリゾートの従業員のうち6割が学生アルバイトです。学生アルバイトは人件費節減のためだと思ってはいけません。会社の顔なのです。会社の顔である現場の人間をどれだけ重要視するかなのです。 私は、心とは、思いやり+やり遂げる熱意だと思います。それをどうやって相手に通じさせるかということが、サービスの原点ではないでしょうか。 |
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